フィリピンの深い森の中で、ふと奇妙な感覚に襲われたら注意してください。タバコを吹かしながら、膝が頭よりも高い位置に来るような姿勢で木陰に座る、馬の頭を持つ巨人があなたを見ているかもしれません。それがティクバランです。彼らは森の守護者であり、同時に旅人を惑わす悪戯好きな妖怪でもあります。
ティクバランの姿
異様なプロポーション
ティクバランの最大の特徴は、その異様な外見です。頭は完全に馬ですが、体は非常に筋肉質な人間の男性のような構造をしています。しかし、その手足は異常に長く、座っている時は膝が耳の上までくると言われています。立ち上がると2メートルを優に超える巨人であり、その全身は短い毛で覆われています。彼らは森の奥深く、特にバラテ(Balete)の木やバナナの木の下を好み、そこで長い葉巻のようなタバコを吹かしている姿がよく目撃されます。
いたずら好き
彼らは森に入った人間をからかうのが大好きです。魔法を使って幻覚を見せ、旅人に同じ道を何度もぐるぐると歩かせたり、方向感覚を狂わせて森の奥地へ誘い込んだりします。しかし、彼らは必ずしも邪悪ではなく、森を荒らす者への警告として悪戯を行うこともあります。
対処法と服従
シャツを裏返す
もし森で迷ってしまい、どれだけ歩いても元の場所に戻ってしまうなら、それはティクバランの仕業かもしれません。そんな時の最も有名な対処法は、「着ているシャツを裏返しに着直す」ことです。こうすることでティクバランの魔法が解け、正しい帰路が見つかると信じられています。また、森に入る際に「ティクバラン様、通らせてください」と声に出して許可を求めることも有効です。
金色の毛
彼らの豊かなたてがみの中には、一本だけ、目立つ金色の棘のような毛(または白い毛)があると言われています。非常に困難で危険ですが、もしこの毛を奪うことができれば、ティクバランを一生召使いとして従わせることができます。彼は主人のために怪力を振るい、富をもたらすと伝えられています。
まとめ
ティクバランは、自然への畏怖と、森に潜む不可解な恐怖具現化した存在として、今もフィリピンの人々の間で語り継がれています。彼らは森という聖域への敬意を忘れないよう、私たちに警告しているのかもしれません。