海面を割って現れる黄金の戦車。それを引くのは、力強い馬の嘶きを上げながら、魚の尾で水をかく不思議な生き物たちです。海の王ポセイドンの忠実な足、ヒッポカムポスを紹介します。
ヒッポカムポスとはどんな幻獣か?
半馬半魚の姿
名前はギリシャ語で「馬(hippos)」+「怪物(kampos)」に由来します。その姿は、上半身が馬、**下半身が魚(またはイルカ)**の尾を持っています。前脚には水かきやヒレがついていることもあり、たてがみはサンゴや海藻でできているとも描かれます。
英語では「Sea-Horse」
英語では直訳して「Sea-Horse」とも呼ばれますが、これは実在の魚「タツノオトシゴ」を指す言葉でもあります。タツノオトシゴも学名は Hippocampus であり、この幻獣がモデルとなっています。
ポセイドンとの関係
海神の戦車を引く
ヒッポカムポスの最も重要な役割は、海神ポセイドン(ネプチューン)の戦車を引くことです。彼らが戦車を引くと、荒れ狂う海も静まり返り、道が開けると言われています。
多くの芸術作品に登場
古代ローマのモザイク画や、ルネサンス期の絵画、噴水の彫刻など、ポセイドンと共に数多くの芸術作品のモチーフとして描かれています。トレビの泉(ローマ)の彫刻も有名です。
【豆知識】脳の「海馬」との関係
記憶を司る器官
人間の脳には、記憶や空間学習能力に関わる重要な部位**「海馬(かいば)」**があります。この部位の形状がタツノオトシゴ(Hippocampus)に似ていることから、解剖学でも Hippocampus と名付けられました。つまり、神話の怪物があなたの脳の中にも(名前だけ)住んでいるのです。
現代作品でのヒッポカムポス
パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々
ポセイドンの息子である主人公を助けるため、水辺で愛嬌のある乗り物として活躍します。
リトル・マーメイド
ディズニー映画などでも、人魚たちが乗る馬として描かれることが多く、海のファンタジーには欠かせない存在です。
まとめ
ヒッポカムポスは、荒々しい波のエネルギーと、馬の優雅さを兼ね備えた美しい幻獣です。海辺で白い波頭が馬のたてがみに見えたら、それは彼らが駆けているのかもしれません。