幻獣界でも一二を争う「汚いが強力な」能力を持つ怪物がいます。その名は「ボナコン(Bonnacon)」。立派な牛の姿をしていますが、彼が戦うときに使うのは角ではなく、お尻から放つ灼熱の排泄物です。中世の写本で真面目に紹介されていた、このユーモラスな珍獣について解説します。
ボナコンの生態
役に立たない角
ボナコンは馬のたてがみと牛の体を持つ生物として描かれます。特徴的なのはその角で、内側にくるりとカールしているため、突き刺して攻撃することが全くできません。そのため、彼は別の防衛手段を進化させました。
必殺の「焼き尽くす糞」
敵に追われると、ボナコンは逃げながら大量の排泄物を噴射します。その飛距離は600メートルにも達し、さらに火がついたように熱く、強烈な酸性を帯びています。これに触れた猟犬やハンターは、毛や皮を焼かれ、退散するしかないのです。
プリニウスも記述
古代からの記録
ローマの博物学者プリニウスの『博物誌』にも「ボナソス」という名で記述があり、アジア(現在のトルコ付近)に生息しているとされました。中世ヨーロッパの動物誌(ベスティアリ)では挿絵付きで頻繁に取り上げられ、「尻を向けてハンターを撃退する牛」の図は定番のネタとなりました。
現代のボナコン
ゲームでの登場
能力が能力だけに、コミカルなモンスターとして登場することが多いです。『ファイナルファンタジー』シリーズでは青魔法「臭い息」などを連想させる敵として、あるいは『モンスターハンター』のババコンガのように、放屁や排泄物を武器にするモンスターの元ネタとして影響を与えています。
【考察】正体はバイソン?
ヨーロッパバイソンの誤認
実在するヨーロッパバイソンがモデルだという説が有力です。彼らは興奮すると大量の排泄物を撒き散らす習性があり、その湯気や臭いが「火を噴いている」ように誇張され、角の形状の勘違いも加わってボナコン伝説が生まれたのでしょう。
まとめ
ボナコンは、人間の想像力が生み出した「進化の不思議」を体現する幻獣です。その戦い方は下品ですが、生き残るための必死さと知恵を感じさせてくれます。