舌を出したコミカルな顔、ずんぐりむっくりな小人の体。一見ふざけているように見える神ベスですが、実は古代エジプトで最も愛された最強の魔除け神です。悪霊を笑い飛ばし、妊婦や子供を全力で守る、頼れる小さなボディーガード。
ベスとはどのような神か?
古代エジプトの興行・音楽・舞踊、そして家庭の守護神です。獅子のたてがみと耳、小人の体、そして正面を向いて舌を出した顔(アカンベー)が特徴です(エジプト美術では珍しい正面描画)。その恐ろしくも滑稽な顔で悪霊を驚かせて追い払うと信じられていました。特に妊婦の出産時や、眠っている子供を悪夢から守る神として、庶民の家には必ずベスの護符があったと言われます。
神話でのエピソード
王家の守護者
最初は庶民の神でしたが、その強力な魔除けの力はやがて王宮にも認められ、王室の寝室の壁画や、化粧道具、枕などにもベスの姿が描かれるようになりました。ファラオもまた、夜の恐怖からはベスに守ってもらわねばならなかったのです。
遠い故郷
彼の起源はエジプトではなく、ヌビア(アフリカ内陸部)にあるとも言われています。そのため、異国風の羽飾りをつけたり、太鼓を叩いたりする陽気な姿で描かれます。
信仰と文化への影響
マスコットキャラ
その愛嬌のある姿は、古代のエジプトでも「キモカワ」的な人気があったようで、壷や鏡、護符のデザインとして大量に生産されました。現代のキャラクターグッズの先駆けと言えるかもしれません。
笑いは強さ
恐怖に対抗する一番の武器は「笑い」です。ベスのユーモラスな姿は、不安に怯える人々の心を和ませ、そのリラックス効果こそが真の「魔除け」だったのかもしれません。
【考察】その本質と象徴
インパクト勝負
高貴で近寄りがたい神々の中で、ベスは友達のような親しみやすさを持っていました。悩みを聞いてくれそうなその顔は、いつの時代も人々に求められる「癒やし」の神の姿です。
まとめ
笑う門には福来る。ベスが踊れば、悪霊は退散し、家の中は明るい笑い声で満たされるのです。