「てんてんてんまり、てん手鞠…」童謡にも歌われる手鞠。ゴムまりが普及する前、日本の子供たちはこの美しい芸術品を地面について遊んでいました。気の遠くなるような手作業で生み出されるその幾何学模様は、まるで万華鏡のように見る者を魅了します。
芯まで詰まった愛情
糸の宝石
手鞠の芯は、もみ殻や古布を糸でぐるぐると巻いて球体にしたものです。その上から、設計図なしに色のついた糸を一針一針、規則正しく交差させて模様を描き出します(地割り)。
母親の願い
かつては、お正月に母親が子供のために手作りして贈る風習がありました。丸い形は「万事丸く収まる」「円満」を表し、魔除けのお守りとしての意味も込められていたのです。
模様が持つ意味
伝統的な吉祥文様
- 菊・桜: 日本の四季と繁栄。
- 麻の葉: 子供の健やかな成長(麻は成長が早いため)。
- 亀甲: 長寿と健康。 これらの文様は、単なるデザインではなく、贈る相手への祈りのメッセージなのです。
まとめ
手鞠は、手から手へ、親から子へと受け継がれる「糸の絆」です。部屋に一つ飾るだけで、その空間に和の彩りと、温かい物語を添えてくれるでしょう。