「行いは己のもの。批判は他人のもの。知ったことではない」。幕府の幕引きを演出した希代のネゴシエーター、勝海舟。敵である西郷隆盛と膝を突き合わせ、江戸を火の海から救った「江戸城無血開城」は、日本史上最大のファインプレーです。
勝海舟とはどのような人物か?
徳川幕府の幕臣でありながら、広い視野で日本の未来を考えた政治家です。咸臨丸でアメリカに渡り、近代文明の凄さを肌で感じました。帰国後は海軍の創設に尽力し、坂本龍馬などの維新志士たちにも大きな影響を与えました。幕末の混乱期において、幕府側の代表として新政府軍との和平交渉をまとめ上げ、江戸の町と100万の民の命を守りました。
伝説とエピソード
氷川清話
晩年は赤坂の氷川に住み、訪ねてくる客に「べらんめえ口調」で当時の思い出話や毒舌を語りました。これが『氷川清話』として残っています。「俺は幕府を倒したんじゃない、幕府が倒れるときに下敷きにならないように支えただけだ」といった名言の宝庫です。
龍馬の師匠
自分を殺しに来た坂本龍馬に世界情勢を説いて感服させ、その場で弟子にしてしまったエピソードは有名です。龍馬の脱藩の罪を許してもらうために奔走するなど、面倒見の良い親分肌でした。
現代作品での登場・影響
理想の上司
組織にしがみつかず、しかし組織を見捨てず、若者の可能性を伸ばす。その柔軟で懐の深い態度は、現代でも「理想の上司」として名前が挙がります。
西郷との友情
立場の違う西郷隆盛とは深い信頼関係で結ばれていました。西郷が死んだ後、彼の名誉回復に最も尽力したのは勝でした。
【考察】その強さと本質
負け方の美学
彼は「勝ち方」ではなく「負け方」を知っていた人です。滅びゆく幕府をいかに綺麗に終わらせ、次の時代にバトンタッチするか。そのデザインを描けたことが、彼の最大の功績です。
まとめ
刀を抜かずに国を救った男。彼の言葉は、今も東京の空の下で、粋な江戸っ子の風となって吹いています。