父が「足」を撫でるなら、母は「手」を撫でていつくしむ。手名椎命(テナヅチ)は、夫のアシナヅチと共に神話に登場し、愛娘クシナダヒメの運命を案じ続けた慈愛の母神である。
夫婦神としての絆
常に二人で
『古事記』において、テナヅチは常に夫のアシナヅチとセットで語られる。 7人の娘をオロチに食われ、最後に残ったクシナダヒメを抱きしめて泣いていたところをスサノオに見出された。
手を撫でる母
名前の由来は**「娘の手を撫でていつくしむ母」**とされる。 また、手(テ)は「山の中腹」を意味するという説もあり、アシナヅチ(麓)と対になって山全体の神霊を表現している可能性もある。
スサノオへの協力
酒の準備
夫と共に「八塩折の酒」を醸し、垣根を作り、オロチを待ち受ける準備を整えた。 彼女の役割は目立たないが、スサノオという荒ぶる神を婿として受け入れ、信頼した決断力は、出雲の運命を大きく変えることになる。
【考察】古代の母性
守護の象徴
テナヅチ・アシナヅチの夫婦は、現代でも各地の神社(氷川神社など)に祀られ、その多くは**「子供の守り神」あるいは「縁結びの神(クシナダヒメの両親として)」**として信仰されている。
まとめ
手名椎命の流した涙は、スサノオの剣によって拭われ、新たな国造りの喜びへと変わっていった。