**オシラサマ(おしら様)**は、東北地方(青森・岩手・宮城)の農家で広く信仰されている家の神様です。通常は桑の木で作られた男女(あるいは馬と娘)の一対の棒状の人形で、色とりどりの布(オシラギヌ)を何重にも着せられています。その祭文は、イタコ(盲目の巫女)によって語り継がれてきました。
馬と娘の悲恋
許されざる恋
昔、ある農家の娘が、飼っていた馬と恋に落ち、夫婦になってしまいました。怒った父親は馬を殺し、桑の木に吊り下げて皮を剥ぎました。娘が泣きながらその皮にとりすがると、皮は娘を包み込んで空へ飛び去り、二人は神となりました。これがオシラサマの起源とされる**「馬娘婚姻譚(ばじょうこんいんたん)」**です。
養蚕の守護神
天に昇った娘は、夢の中で両親に「臼の中の蚕(かいこ)を飼えば暮らしが良くなる」と教えました。以来、オシラサマは養蚕の神様として崇められるようになりました。桑の木で作られるのも、蚕が桑の葉を食べるからです。
命日と遊ばせ オシラサマの命日とされる旧暦1月16日(または3月16日)には、**「オシラ遊ばせ」**という儀式が行われます。イタコが人形を手に持って踊らせながら、オシラサマの由来(祭文)を唱えます。布を毎年一枚ずつ着せていくため、古いオシラサマは何重にも布をまとって太くなっています。
まとめ
異類婚姻というタブーを超えた愛の物語。オシラサマは、厳しい東北の自然の中で生きる人々を支え続ける、優しくも神秘的な神様です。