出会いがあれば別れがある。しかし、泥沼の別れほど辛いものはない。日本神話において、史上最悪の夫婦喧嘩(イザナギ・イザナミ)の果てに生まれたのが、事解之男神(コトサカノオ)である。
別れの誓い
黄泉比良坂での決別
『日本書紀』によれば、イザナギが黄泉の国から逃げ帰り、追ってきたイザナミと黄泉比良坂(よもつひらさか)で対峙した際、「お前とは縁を切る!」と宣言(事解)した。 その時、掃き払った唾から速玉之男神(ハヤタマノオ)が生まれ、次に掃き払った唾から**事解之男神(コトサカノオ)**が生まれたとされる。
関係を「解く」神
離縁と真実
「コトサカ」とは「事解」、つまり事情を説明して納得すること、あるいは関係をきっぱりと解消し、物事を解決することを意味する。 ただの縁切り神ではなく、もつれにもつれた関係を双方合意の上で清算させるという、非常に理知的で法的な側面を持つ神である。
【考察】契約の守護者
言葉の重み
唾を吐いて誓うという行為は、古代における契約や盟約の儀式であった。 事解之男神は、嘘偽りのない言葉によって物事を白黒はっきりさせる、契約と誓約の守護神と言えるだろう。
まとめ
事解之男神は、絡まった糸を解くように、私たちの人生の難問を静かに解決へと導いてくれる。