アイヌの人々にとって、生きる中心にあるのは「囲炉裏の火」です。その火そのものが神格化されたアペフチカムイ(火の老婆のカムイ)は、家の中に常にいて人間を見守る、最も身近で、かつ最も尊い女神様です。
神々への窓口
祈りはまず火の神へ
アイヌの儀式(カムイノミ)では、どんな神様に祈る場合でも、まず最初にアペフチカムイに挨拶をします。なぜなら、人間の言葉はそのままでは高位のカムイ(山の神や海の神)には届かず、火のカムイが通訳・仲介をしてくれると考えられているからです。
火の神への礼儀
絶対にしてはいけないこと
囲炉裏の火は女神の体そのものです。そのため、火に水をかけたり、汚いものを燃やしたり、刃物を向けたりすることは最大のタブーとされます。常に清浄に保つことが、家庭の平和を守ることに繋がります。
黄金の衣を着た老婆
慈愛に満ちた姿
人間の姿をとる時は、美しい黄金の衣を何枚も重ね着した、上品な老婆の姿で現れると言われています。いつも温かく微笑み、子供や家族の健康を見守っています。「フチ」はアイヌ語で「おばあちゃん」や「尊敬すべき老婆」を意味します。
まとめ
現代の生活では囲炉裏を見る機会は減りましたが、火や熱エネルギーへの感謝こそがアペフチカムイへの祈りです。全ての神との架け橋となる、偉大なおばあちゃん神です。