「残り物には福がある」と言うが、捨てられた神が最高の福の神になると誰が想像しただろうか。イザナギとイザナミの失敗作として海に流された蛭子神(ヒルコ)は、長い旅の果てに「えびす様」として帰ってきた。
葦舟での漂流
最初の子供
国産みの最初に生まれたヒルコは、3歳になっても足が立たなかったため、親神によって葦舟に乗せられ、海へと流されてしまった(オノゴロ島神話の失敗)。 神話の表舞台からはここで消え去るはずだった。
えびすとしての復活
摂津国への漂着
伝説によれば、流されたヒルコは摂津国(現在の兵庫県西宮市)の海岸に漂着したとされる。 「海から寄り来るもの(寄り神)」は富をもたらすと考えられていたため、土地の人々に手厚く祀られ、やがて夷(えびす)三郎、すなわち商売繁盛の神様「えびす様」として信仰されるようになった。
【考察】再生の物語
異形と聖性
古代において、異形の姿で生まれた者は、人間界のものではない神聖な霊力を持つと見なされることがあった。 一度「死」の世界(海の彼方)へ追放され、そこから富を持って「再生」して帰ってくるヒルコの物語は、苦難を乗り越えて成功を掴む逆転のドラマとして、多くの庶民に愛されたのである。
まとめ
蛭子神は、たとえ生まれに恵まれなくても、流れ着いた場所で花を咲かせることができるという希望の象徴である。