漁師や船員にとって、船はただの乗り物ではなく、命を預ける相棒であり、神そのものです。その船の心臓部、特に帆柱の下(筒っぽ)に宿るとされるのが**船霊(ふなだま)**様です。彼女は気まぐれですが、大切に扱えば嵐から船を守り、大漁をもたらしてくれます。
女神の嫉妬
女性タブーの理由
昔から「船に女を乗せると不漁になる」「嵐になる」と言われてきました。これは男尊女卑というより、**「船霊様は女性の神様なので、他の女性が乗ると嫉妬する」**と信じられていたからです。逆に、海が荒れた時に女性の下着を海に投げ入れると静まる、という倒錯した伝承もあります。
御神体の中身
船霊として祀られる「御神体」は、一種のブラックボックスです。中身は男女一対の人形雛、サイコロ(賽)二つ、五色の糸、銭12文、女性の髪の毛などが一般的です。サイコロは「天(6)と地(1)」を表すとも言われます。
ジジジという音
虫の知らせ
船霊は危険を察知すると、船乗りに知らせてくれます。嵐の前兆として、帆柱の根元から「ジジジ」「チリチリ」というような「しら声」が聞こえるといいます。これを聞いたら、漁師はすぐに港へ引き返さなければなりません。
まとめ
GPSもレーダーもなかった時代、船霊様は暗い海の唯一の光でした。科学が進歩した現代でも、進水式で神酒を捧げる伝統は消えることはありません。