その名は記紀神話(古事記・日本書紀)には登場しません。しかし、神社の摂末社としてひっそりと、だが確実に全国に祀られている謎の神アラハバキ。遮光器土偶のような姿で描かれ、大和朝廷に征服された「まつろわぬ民(蝦夷)」の神とも言われる、日本古代史最大のミステリーの一つに迫ります。
製鉄と足の神
脛巾(はばき)の神
一般的には「足腰の神」として信仰されています。「ハバキ」は脛(すね)を守る防具のこと。わらじを奉納する風習が見られますが、これは表向きの姿で、本来は「ハバ(ホド=女性器や炉)+キ(人、木)」であり、製鉄や安産に関わる古い地母神だったという説が有力です。
隠された主神
氷川神社の門客神
大宮の氷川神社などでは、主神であるスサノオよりも古い地主神として「門客神(まろうどがみ)」という名のアラハバキが祀られています。これは、新しい神が来たために場所を譲り、戸口の守り神へと追いやられた土着の主神の姿そのものです。ゲーム『女神転生』シリーズでの強力な描写により、オカルト的な人気も博しています。
まとめ
アラハバキは、文字に残された「正史」からはこぼれ落ちた、しかし日本の大地の底流に確かに流れている、古層の信仰エネルギーの象徴です。