神話の世界では、神々自身が「道具」や「乗り物」に変化する、あるいは道具そのものが神として扱われることがある。天鳥船神(アメノトリフネ)は、その名の通り「天空を翔ける船」そのものである。
鳥のように空を飛ぶ船
船であり、神である
別名を鳥之石楠船神(トリノイワクスフネノカミ)という。 「石のように堅固な楠で作られた、鳥のように速い船」という意味である。この神は、人格を持つ神であると同時に、他の神を乗せて運ぶ乗り物そのものでもあるという特異な性質を持つ。
国譲りの名脇役
タケミカヅチの相棒
『古事記』の国譲り神話において、最強の武神・建御雷神(タケミカヅチ)が出雲へ派遣される際、副使(パートナー)として選ばれたのが天鳥船神であった。 武力も言論も持たない「船」が選ばれたのは、タケミカヅチを乗せて天と地を自在に行き来する機動力が不可欠だったからだろう。
ヒルコを流した船
一説には、イザナギ・イザナミの最初の子である不具の神「ヒルコ」を葦舟に乗せて流した際、その舟がこの神の原型であるとも言われる。
現代の信仰
空と海の守り神
元々は船の神であったが、その名前に「鳥」が含まれ、天空を移動することから、現代では航空安全や宇宙開発の守護神としても信仰を集めている。 飛行機もロケットも、現代の「天鳥船」と言えるかもしれない。
まとめ
天鳥船神は、太古の昔から人類が抱いてきた「空への憧れ」と「移動への渇望」を象徴する神である。