伝国璽(Imperial Seal / でんこくじ) は、秦の始皇帝が、名玉「和氏の璧(かしのへき)」を加工して作らせたと言われる、中華皇帝の印章です。印面には「受命于天、既寿永昌(天より命を受け、寿(いのち)永く昌(さか)えん)」という文字が刻まれており、これを持つことこそが、天命を受けた正統な支配者の証明とされました。
三国志の争奪戦
孫堅と袁術
後漢末期の動乱で宮殿の古井戸から発見され、孫堅の手に渡りました。その後、彼の死とともに袁術の手に渡り、袁術はこれを持って皇帝を自称しましたが、実力が伴わず滅亡しました。このように、玉璽は持ち主に至高の権力を約束する一方で、器でない者が持てば破滅を招く「呪いのアイテム」のような側面もありました。
金で補修された角
王莽の簒奪の際、漢の皇太后が怒って投げつけたため、角が一つ欠けてしまい、後に金で補修された(金鑲玉璽)というエピソードも有名です。この「欠けた角」が本物の証明となりました。
失われた秘宝
歴代王朝に受け継がれましたが、五代十国時代の混乱の中で行方不明となりました。以後、多くの皇帝が偽造したり、再発見を自称したりしましたが、本物が再び歴史の表舞台に出ることはありませんでした。
まとめ
伝国璽は、形ある権力の儚さを象徴しています。石そのものに価値はなくとも、人々がそこに「天命」を見出した時、それは国をも動かす重みを持つのです。