燃え盛る火焔山(かえんざん)の炎を消すため、孫悟空が奔走して手に入れようとした宝貝、それが「芭蕉扇」です。牛魔王の妻・羅刹女(鉄扇公主)が持つこの扇は、一振りすれば人が空の彼方まで吹き飛ぶほどの暴風を巻き起こします。
芭蕉扇とは?
霊力が宿る芭蕉の葉
その名の通り、芭蕉(バナナの仲間の植物)の巨大な葉で作られた扇です。普段は小さくして口の中にしまっておけますが、使用時には巨大化させます。この世の火ではなく、霊的な火を含むあらゆる炎を鎮める力を持っています。
三段階の能力
「一扇ぎすれば風が起き、二扇ぎすれば雨雲を呼び、三扇ぎすれば雨が降る」と言われています。単なる攻撃武器ではなく、天候を操作する農業神的な側面を持つ道具でもあります。
もう一つの芭蕉扇
金角・銀角の扇
実は西遊記には、もう一つ「芭蕉扇」が登場します。平頂山の金角・銀角大王が持っていたもので、こちらは太上老君が炉の火を扇ぐのに使っていた道具です。羅刹女のものが「火を消す(水を呼ぶ)」性質を持つのに対し、金角たちのものは「火を起こす」性質を持っており、扇ぐと激しい炎が発生します。名前は同じでも効果は真逆なので注意が必要です。
現代作品での芭蕉扇
ドラゴンボールへの影響
鳥山明の「ドラゴンボール」初期にも、亀仙人が持っているアイテムとして登場しました(鍋敷きに使われて汚れてしまいましたが)。巨大な風圧で山火事を消そうとして山ごと吹き飛ばすシーンは、西遊記のパロディとして有名です。
風使いの必須アイテム
ゲーム作品では、風属性の魔導書や、扇武器の最上位モデルとして登場します。「風を起こして敵全体を攻撃する」や「敵を戦闘から除外する(吹き飛ばす)」といった効果が一般的です。
【考察】最強の非殺傷兵器
刃物で傷つけることなく、相手をはるか彼方(五万四千里とも言われる)へ吹き飛ばして戦闘を終わらせる。ある意味で、最も平和的かつ強力な自衛武器と言えるかもしれません。
まとめ
涼むための扇も、神仙が持てば嵐を呼ぶ兵器となる。芭蕉扇は、風という捉えどころのない力を操る、東洋的ロマンの結晶です。