本名タタンカ・イヨタケ(座れる雄牛)。彼はスー族(ラコタ族)の大酋長であり、同時に強力な呪術医(メディスンマン)でもありました。白人の侵略に対して、武力だけでなく精神的な結束をもって抵抗し、カスター将軍率いる第7騎兵隊を壊滅させた「リトルビッグホーンの戦い」の立役者です。
予言された勝利
サンダンスの儀式
リトルビッグホーンの戦いの直前、シッティング・ブルは自らの肉体を捧げる過酷な「サンダンス」の儀式を行いました。そしてトランス状態の中で、「青いコートを着た兵士たちが、イナゴのように空から逆さまに落ちてくる」というヴィジョン(幻視)を見ました。
第7騎兵隊の全滅
彼は部族の戦士たちに「勝利は約束されているが、敵の持ち物を略奪してはならない」と告げました。その予言通り、数日後に攻めてきたジョージ・アームストロング・カスター中佐の部隊は、クレイジー・ホースらの猛攻を受け、一人残らず全滅しました。これはネイティブアメリカン史上、最大の歓喜の瞬間でした。
ショービジネスと悲劇の最期
バッファロー・ビルとの友情
降伏後、彼はかつての敵である白人の社会で生きることを余儀なくされました。「ワイルド・ウェスト・ショー」の一員として全米を巡業し、観客に罵声を浴びせられながらも、受け取ったギャラを貧しいストリートチルドレンに分け与える慈悲深さを見せました。
ゴースト・ダンス運動
晩年、先住民の間で「救世主が現れ、白人が消え去る」というゴースト・ダンス運動が流行すると、当局は彼がその首謀者になることを恐れました。逮捕の混乱の中、彼は同胞であるインディアン警察によって撃たれ、その生涯を閉じました。彼が死んだ時、かつてショーで芸として教え込まれていた馬が、銃声を聞いて踊りだしたという悲しい逸話が残っています。
まとめ
シッティング・ブルは、滅びゆく伝統と誇りを最後まで守り抜こうとした精神的支柱でした。彼の言葉と生き様は、今もネイティブアメリカンの心の中に深く根付いています。