「スパルタ人よ、朝食をたっぷりとれ。今夜の食事は地獄でとるぞ!」絶望的な戦力差を前に、決して退かなかったレオニダス王の魂は、勇気の代名詞です。古代ギリシャ最強の重装歩兵軍団スパルタを率い、ペルシア帝国の侵略から西洋文明を守る盾となった彼の最期は、歴史上最も有名な「敗北」であり、同時に最も偉大な「勝利」でもあります。
スパルタ最強の王
過酷なスパルタ教育
レオニダスは、王族でありながら、他のスパルタ市民と同じ過酷な教育(アゴゲ)を受けて育ちました。極寒の中裸足で歩き、盗みを推奨され(見つかれば罰せられる)、徹底的に感情を殺して戦士としての技術を叩き込まれました。彼が王になったのは60歳近くの時でしたが、その肉体と精神は衰えるどころか、まさに鋼のようであったと言われています。
炎の門テルモピュライ
ペルシア王クセルクセス1世が率いる数十万の大軍がギリシャに迫った時、レオニダスは神託により「王が死ぬか、国が滅びるか」の選択を迫られます。彼は迷わず自らの命を捧げることを選び、地形が狭く大軍の利を活かせない「テルモピュライ(熱い門)」での迎撃を決断しました。
300人の精鋭たち
共に死ぬ覚悟
彼が連れて行ったのは、スパルタ正規兵わずか300人(同盟軍を含めても数千人)。選ばれたのは「跡継ぎの息子がいる者」だけでした。それは、生きて帰れないこと前提の特攻作戦だったからです。彼らはこの狭い道で、波のように押し寄せるペルシア軍を3日間にわたって食い止め続けました。
モローン・ラベ
戦いの前、ペルシアの使者が「武器を捨てて降伏せよ」と告げた際、レオニダスはたった一言、「来たりて取れ(Come and Take it / Molon Labe)」と返したと伝えられています。裏切り者エフィアルテスによって裏道を教えられ、包囲された後も、彼らは槍が折れれば剣で、剣が折れれば素手と歯で戦い、最後の一人になるまで全滅しました。
現代のマッスルヒーロー
映画「300」の影響
フランク・ミラーのコミック及びザック・スナイダーの映画『300』によって、レオニダスのイメージは「半裸のマッチョな戦士」として世界的に定着しました。史実では重装歩兵鎧を着ていたはずですが、あのビジュアルこそが彼の不屈の魂(スピリット)を表現していると言えるでしょう。
守護者としての聖性
『Fate/Grand Order』では、「炎門の守護者(テルモピュライ・エノモタイア)」という宝具を持つランサーとして登場。計算高く、戦術と数学(筋肉)に基づいた指導を行う熱血教師のような一面も見せますが、いざという時には味方全員を守る究極の盾となります。
まとめ
レオニダスと300人の犠牲は無駄ではありませんでした。彼らが稼いだ時間はギリシャ軍の再編を可能にし、後のサラミスの海戦での勝利へと繋がったのです。彼の名は、自由に殉じる崇高さの象徴として永遠に刻まれています。