北欧のサガにその名を刻む、伝説的な「盾の乙女(スキャルドメイ)」。英雄ラグナル・ロズブロークの最初の妻として知られる彼女は、美しさだけでなく、男性戦士さえも凌駕する武勇で敵を震え上がらせました。
盾の乙女(スキャルドメイ)の伝説
戦場に咲く花
「盾の乙女」とは、北欧神話や伝承に登場する、武器を取り戦場に立つ女性戦士のことです。ラゲルサはその最も有名な一人であり、サクソ・グラマティクスの『デンマーク人の事績』にその活躍が詳しく記されています。
ラグナルとの劇的な出会い
スウェーデン王フレーによる侵略から生き延びた女性たちを率いて戦っていた際、彼女を見初めたのが若き日の英雄ラグナル・ロズブロークでした。彼はラゲルサに求婚するために彼女の家を訪れましたが、そこには熊と猟犬が番犬として待ち構えていました。ラグナルはこれらを素手で倒し(あるいは槍で突き殺し)、その武勇を示してようやく彼女との結婚を認められたといいます。
戦場での圧倒的活躍
常に最前線へ
彼女は常に戦いの最前線に立ち、髪をなびかせて戦場を駆け巡りました。特に敵の背後に回り込む奇襲戦法を得意とし、パニックに陥った敵軍を壊滅させることもしばしばでした。その姿は、北欧神話の戦乙女「ヴァルキュリア」そのものとして、味方を鼓舞し敵を恐怖させました。
離婚後の共闘
ラグナルが新たな妻を迎えるために彼女と離婚した後も、ラゲルサの彼への情愛(あるいは戦士としての敬意)は消えませんでした。ラグナルが苦境に陥った際、彼女は120隻の船団を率いて救援に駆けつけ、決定的な勝利をもたらしました。このエピソードは、彼女の自立した精神と深い情愛を物語っています。
支配者としてのラゲルサ
夫を殺して王座へ
帰国後、彼女は再婚相手の夫と対立しました。夫との争いの果てに、彼女は服の中に隠していた槍じかけのナイフで夫を刺殺し、自らが名実ともに領地の支配者(ヤール)となりました。この冷徹とも言える決断力は、彼女が単なる戦士ではなく、野心を持った政治的支配者であったことを示唆しています。
まとめ
美しき戦乙女ラゲルサ。愛に生き、剣に生きた彼女の物語は、現代のドラマシリーズ『Vikings』などを通じて世界中で再燃しており、強く自立した女性のアイコンとして支持を集めています。