若くしてイングランド、デンマーク、ノルウェーの王冠を戴き、広大な「北海帝国」を支配したクヌート大王。漫画『ヴィンランド・サガ』でも主要人物として描かれる彼は、実際にはどのような王だったのでしょうか。
北海の覇者
異民族によるイングランド統治
ヴァイキングの一族でありながらイングランドを征服したクヌートは、略奪者としてではなく、賢明な統治者として振る舞いました。彼は現地の法や慣習を尊重し、キリスト教を保護することで、アングロサクソン人の支持を得ることに成功したのです。
波打ち際の伝説
「海よ止まれ」の真意
クヌートには、「波打ち際に玉座を置き、満ちてくる潮に『濡らすな』と命じたが、波は止まらなかった」という有名な逸話があります。 これは決して狂気からではありません。「王の権力といえども、神の定めた自然の摂理には勝てない」ということを、へつらう家臣たちに示すためのパフォーマンスだったと言われています。彼の謙虚さと敬虔さを表すエピソードです。
偉大なる王
大王(The Great)
イングランド史において「大王」の称号で呼ばれるのは、アルフレッド大王と、このクヌート大王の二人だけです。異民族の王がこれほど高く評価されている事実は、彼がいかに優れた政治手腕を持っていたかを物語っています。
【考察】早すぎたグローバリズム
北海帝国の崩壊
彼の死後、その巨大な帝国はあっけなく分裂しました。海を越えた多国間統治は、当時の技術と体制では維持が困難だったのです。しかし彼が見た「北海を内海とする大国」の夢は、歴史に強烈なインパクトを残しました。
まとめ
武力で奪い、知恵で治める。クヌート大王は、野蛮なヴァイキングのイメージを覆し、真の王者の風格を世界に示した偉人でした。