悪神ロキの妻でありながら、極刑に処された夫に寄り添い続ける慈愛の女神。頭上から滴る蛇の毒を皿で受け続けるその姿は、北欧神話で最も切ない愛の形です。
シギュンとはどのような神か?
北欧神話のアース神族の女神で、ロキの妻です。ナリとナルヴィという二人の息子がいました。ロキがバルドル殺害の罪で捕らえられた際、神々はロキを岩に縛り付け、頭上に毒蛇を配置しました。シギュンは夫のそばに立ち、滴り落ちる毒液が夫の顔にかからないよう、皿で受け続けています。皿がいっぱいになって捨てに行く一瞬だけ毒がロキにかかり、その苦痛でロキが暴れると地震が起きると言われています。
神話でのエピソード
孤独な献身
他の神々がロキを見捨てる中、彼女だけがラグナロクの到来まで夫を守り続けました。彼女自身は何の罪も犯していないにもかかわらず、です。彼女の出自や性格についての記述はほとんどありませんが、この一つの行動が全てを物語っています。
信仰と後世への影響
献身的な妻の代名詞
北欧において、彼女は苦難にある夫を支える献身的な妻の象徴とされています。
マーベル映画
映画『マイティ・ソー』シリーズでは登場しませんが、原作コミックでは重要な役割を担うことがあります。
【考察】その本質と象徴
静かなる抵抗
神々の決定(ロキへの拷問)に対して、彼女は武力ではなく「愛」で抵抗しました。その静かな強さは、戦士たちの武勇にも劣りません。
彼女の名の意味
シギュンという名前は「勝利の恋人」あるいは「勝利を与える女性」を意味すると考えられています。敗北者となった夫ロキに寄り添う彼女の姿とは対照的ですが、愛を貫き通したことこそが彼女の「勝利」なのかもしれません。彼女の献身は、北欧神話の悲劇的な運命の中で、唯一の希望の光として描かれています。
まとめ
皿からこぼれる一滴が大地を揺らす。それは彼女の涙ではなく、受け止めきれない悲しみなのかもしれません。