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女媧(ジョカ):人を造り空を補修した中国の創造神【中国神話】

#中国神話 #女神 #創造神 #封神演義 #妲己
女媧 / Nuwa
女媧

女媧

Nuwa
中国神話創造神 / 始祖神
神格★★★★★
大きさ上半身は美女、下半身は蛇
権能生命の創造、天変地異の修復(補天)
弱点不敬な扱い(激怒して国を滅ぼすほど)
主な登場
封神演義無双OROCHI真・女神転生

古代中国神話において、人類を創造し、崩壊した天を修復したとされる偉大なる母神、女媧(ジョカ)。彼女は伏羲(フギ)と共に、蛇の下半身を持つ姿で描かれます。小説『封神演義』では、殷王朝を滅亡へと導く黒幕として描かれるなど、慈愛と破滅の両面を持つ彼女の伝説を紐解きます。

泥から人を作った母

寂しさからの創造

天地が開闢したばかりの頃、地上にはまだ人間がいませんでした。女媧は孤独を感じ、水辺の泥をこねて自分に似た形の人形を作りました。それに息を吹き込むと、たちまち動き出し人間となりました。 最初は丁寧に一つずつ作っていましたが、面倒になった女媧は、泥水に浸した縄を振り回し、飛び散った泥ハネからも人間を作りました。これが「貴族(手作り)」と「凡人(泥ハネ)」の違いになったという俗説もあります。

伏羲との関係

女媧は、文化英雄である伏羲の妹であり、妻であるとされます。古代の画像石には、二人の蛇の尾が絡み合った姿が刻まれており、これは陰陽の調和やDNAの二重らせん構造を連想させるとして、現代でも注目されています。

錬石補天:空を修理した伝説

天の崩壊

ある時、神々の争い(共工と顓頊の戦い)によって天を支える柱「不周山」が折れ、空に巨大な穴が空いてしまいました。そこから天河の水が降り注ぎ、地上は大洪水に見舞われました。

五色の石

女媧は人類を救うため、五色の石を溶かしてドロドロの液体にし、それで空の穴を塞ぎました。さらに巨大な亀の足を切り取って天の四隅を支える柱とし、ようやく世界に平和を取り戻しました。この神話は、彼女が単なる生命の母であるだけでなく、宇宙の秩序を維持する強大な力を持っていたことを示しています。

封神演義での女媧

復讐する女神

明代の小説『封神演義』では、物語の発端となる重要な役割を担います。殷の紂王が女媧の美しさに心を奪われ、神殿の壁に「私の妻にしたい」という不敬な詩を書き残します。 これに激怒した女媧は、千年狐狸精(後の妲己)ら3匹の妖怪を放ち、殷王朝を内部から腐敗させて滅ぼすよう命じました。ここでは慈母ではなく、恐ろしい裁定者として描かれています。

【考察】蛇身信仰とメソポタミア

蛇への畏怖

世界各地の神話で創世神が蛇の姿をしていることは珍しくありません。脱皮を繰り返す蛇は「再生と不老不死」の象徴であり、古代の人々にとって生命の神秘そのものでした。 女媧と伏羲がコンパスと定規を持っている図像は、彼らが世界の規律(秩序)を設計した建築家的な神であることを表しています。

まとめ

女媧は、泥から命を生み出した優しい母でありながら、ひとたび怒れば王朝さえも滅ぼす強烈な自我を持った女神です。その両義性こそが、美しくも恐ろしい中国神話の魅力を体現していると言えるでしょう。