前と後ろ、二つの顔を持つ神ヤヌス。1月(January)の語源にもなった彼は、物事の「始まり」と「終わり」を司る、ローマ神話独自の非常に重要な神様です。
ヤヌスとはどのような神か?
ヤヌスはギリシャ神話に対応する神がいない、ローマ固有の神です。天界の門番であり、あらゆる扉の守護神とされます。二つの顔はそれぞれ過去と未来を見つめており、平和時には神殿の扉が閉じられ、戦時には開かれるという風習がありました。
神話での伝説とエピソード
黄金時代の王
かつてはイタリアの王として君臨し、サターン(クロノス)を客として迎え入れ、農業や法律を広めて黄金時代を築いたとされています。
門の守護
ローマがサビニ人に攻撃された際、ヤヌスが熱湯の泉を噴出させて敵を追い払ったことから、戦時には神殿の扉を開けて神に加勢してもらうようになりました。
戦争と平和の門
ローマのフォロ・ロマーノにあったヤヌス神殿の扉は、ローマが戦争状態にある時は開かれ、平和な時は閉じられていました。ローマの歴史の中で、この扉が閉じられた期間は非常に短かったと言われています。これは、ローマ人が「ヤヌス神が軍と共に戦場へ出て行ってくれること」を願ったためであり、扉が開いていることは神の加護が及んでいる状態を意味しました。
現代作品での登場・影響
January
一年の始まりである1月(January)は、ヤヌスの月(Januarius)に由来します。過去を振り返り、未来を展望する月だからです。
二面性
「ヤヌスの鏡」など、二重人格や二面性の比喩として現代でもよく使われます。
【考察】その強さと本質
時間の境界
空間的な門だけでなく、時間的な節目(年、月、日、人生の節目)すべてを管理する、境界の神としての性格が強いです。
まとめ
何か新しいことを始めるとき、ヤヌスはそっと扉を開けてくれます。過去から学び、未来へ進むための神様です。