カマソッソ(Camazotz) は、マヤ神話の聖典『ポポル・ヴフ』に登場する、最も凶悪な怪物の一人です。その名はキチェ語で「死のコウモリ」を意味し、冥界シバルバーにある「コウモリの館」の主として描かれます。夜闇に潜み、侵入者の首を鋭いナイフのような爪(あるいは鼻)でスパッと切り落とす、速攻と一撃必殺のキラーです。
英雄の首を狩る者
コウモリの館の悲劇
マヤの英雄双子、フンアフプーとシュバランケが冥界の試練に挑んだ際、彼らは「コウモリの館」で一夜を明かすことになりました。一晩中、飛び交うカマソッソたちの猛攻を魔法の吹き矢の中に隠れてやり過ごしましたが、夜明け前にフンアフプーが様子を見ようと少しだけ顔を出してしまいました。
一瞬の殺戮
その瞬間、カマソッソは急降下し、フンアフプーの首を鎌のような刃で切断しました。首は冥界の球戯場のボールとして使われることになり、残されたシュバランケは決死の覚悟で相棒の奪還と蘇生に挑むことになります。このエピソードは、カマソッソがいかに油断ならない致命的な存在であるかを物語っています。
吸血鬼の原型?
現代への影響
血を啜り、夜を支配するその性質は、西洋の吸血鬼伝説と通じるものがあります。現代のエンターテインメント作品でも、カマソッソは「コウモリの魔神」や「ヴァンパイア・ロード」のモチーフとして頻繁に登場し、闇の勢力の幹部クラスとして描かれることが多い、カリスマ性のある悪神です。
ポップカルチャー
アメコミ『バットマン』のダークなイメージの源流の一つとも言われることがあります。また、『女神転生』などのRPGでは、物理反射や状態異常攻撃を得意とする、厄介ながらも頼もしい仲魔として登場します。
まとめ
カマソッソは、夜という根源的な恐怖の象徴です。暗闇から音もなく忍び寄り、一瞬で命を奪うその姿は、古代マヤの人々にとって、ジャングルの夜がいかに危険な場所であったかを神話的に警告しているのかもしれません。