優しい顔の観音様の中で、ひとりだけ激怒している赤い顔の仏様。それが馬頭観音(ばとうかんのん)です。
頭の上に「馬の頭」を載せているのが特徴です。これは、馬が草をバリバリと勢いよく食べるように、人間の尽きることのない煩悩や悪心を食い尽くしてしまうことを表しています。
なぜ怒っているのか?
慈悲の裏返し
普通の優しい言葉では言うことを聞かないどうしようもない悪人や、強い欲望に溺れた人を救うために、あえて恐ろしい姿(憤怒相)をしています。その怒りは、我が子を叱る親のような愛情の深さゆえなのです。
動物の守り神
馬と旅の安全
古くから馬は重要な移動手段でした。その馬を守る仏として、街道沿いによく石仏が祀られました。現代では競馬場の近くに祀られたり、愛犬・愛猫などペットの供養・守護仏としても篤く信仰されています。
六観音の畜生道担当
本能の暴走を止める
六道のうち、理性を失い本能のまま生きる「畜生道」に落ちた人々を救う担当です。食欲や性欲など、コントロールできない欲望に苦しむ人を、その力強い馬力で救い出します。
まとめ
怒れる顔の奥に秘められた、情熱的な慈悲。馬頭観音は、私たちが欲望に飲み込まれそうな時、強力なブレーキとなって守ってくれる頼もしい存在です。