クーラスクス(Koolasuchus)は、白亜紀前期のオーストラリア(当時は南極圏近く)に生息していた巨大な両生類です。学名は「(発見者の名前または涼しい気候にちなみ)Koolのワニ」を意味します。かつて恐竜以前の時代に繁栄した「迷歯類(分椎目)」の最後の生き残りであり、ワニのような生活スタイルで水辺の支配者として君臨していました。
冷涼な気候のアジール
他の地域では、巨大両生類はより敏捷で強力なワニ類との競争に敗れて絶滅していました。しかし、当時のオーストラリアは南極に近く、冬には水が凍るほど寒くなる環境でした。変温動物であるワニはこの寒さに耐えられませんでしたが、冬眠能力を持つと思われるクーラスクスはこの冷涼な環境に適応し、ワニのいない「避難所(アジール)」で生き延びることができたのです。
水辺の待ち伏せ
扁平な大きな頭と、上向きについた目を持っていました。体の色は泥や落ち葉に溶け込む迷彩柄だったでしょう。川底や沼の底にじっと潜み、水を飲みに来た小型恐竜(ラエリナサウラなど)や魚、甲殻類などが近づくと、巨大な口を開けて瞬時に吸い込み、強力な顎で捕食しました。その狩りのスタイルは、日本のオオサンショウウオを巨大かつ凶暴にしたようなものでした。
太古の遺産
クーラスクスは、「生きた化石」のような存在でした。周りには新しい時代の支配者である恐竜たちが歩き回っていましたが、水の中には何億年も前の姿を留めた巨大両生類が潜んでいたのです。しかし、気候が温暖化し、ワニ類が南下してくると、彼らもついに姿を消すことになりました。
まとめ
クーラスクスは、環境の特殊性が古いタイプの生物をどう守るかを示す面白い例です。その巨大でユーモラスな顔つきは、古代両生類の最後の栄光を伝えています。