ハルキゲニア(Hallucigenia)は、約5億年前のカンブリア紀の海に生息していた、奇妙な姿の動物です。バージェス動物群の一つで、「夢まぼろし」や「幻覚」を意味する名の通り、あまりにも現実離れした姿から研究者たちを混乱させ続けました。現在はカギムシ(有爪動物)の祖先と考えられています。
逆さまの復元図
1977年にコンウェイ・モリスによって記載された際、背中のトゲを足だと思い込み、本当の足(触手)を背中の触手だと誤認して、上下逆さまに復元されました。「竹馬に乗って歩く」ようなその姿は、カンブリア紀の奇妙さを象徴するものとして有名になりました。しかし、1990年代に中国で近縁種の化石が見つかり、トゲは背中を守る防御用で、触手を使って歩くのが正しい姿だと修正されました。
頭はどっち?
さらに、どちらが頭でどちらが尻尾かも長年の謎でした。以前は風船のように膨らんだ部分が頭だと思わていましたが、2015年の最新研究で、細長い方の先端に目と口があることが判明し、前後も逆だったことが分かりました。つまり、かつての復元図は「上下逆で前後逆」だったのです。
トゲだらけの生活
体長は数センチと小さいですが、背中の鋭いトゲのおかげで捕食者から身を守ることができました。海底の有機物や死骸を食べていた掃除屋だったと考えられます。
まとめ
ハルキゲニアは、科学がいかに間違いを修正しながら真実に近づいていくかを教えてくれる象徴的な存在です。その「幻覚」のような姿は、今や確かな事実として教科書に載っています。