多くのファンタジー作品で「最強のドラゴン」や「ラスボス」として君臨するティアマト。しかしその正体は、単なる怪物ではなく、すべての神々の母である「原初の海」そのものでした。なぜ母なる神は我が子である神々と殺し合うことになったのか?その悲劇と恐怖の真実に迫ります。
原初の女神ティアマトとは?
すべての始まりの母
メソポタミア神話の創世記『エヌマ・エリシュ』において、ティアマトは塩水の海を象徴する女神として登場します。淡水の神アプスーと交わることで、最初の神々を生み出しました。
ドラゴンとしての姿
本来は女性の姿、あるいは海そのものとして描かれていましたが、後の戦いにおいては多頭のドラゴンや、巨大な怪物の姿で描写されることが多くなりました。これは「混沌(カオス)」を具現化した姿とも言われています。
神々との壮絶な戦争
夫アプスーの死と復讐
増えすぎた若い神々が騒がしいことに怒った夫アプスーは、子供たちを滅ぼそうとしますが、逆に知恵の神エアによって殺されてしまいます。夫を殺されたティアマトは激怒し、復讐の鬼となります。
11の怪物とキングゥ
ティアマトは自らの体から毒龍やサソリ人間など「11の怪物」を生み出し、息子のキングゥを総大将に任命して神々に宣戦布告しました。この戦いは世界を揺るがす大戦争となりました。
マルドゥクとの決戦
最終的に、若い神々の英雄マルドゥクが立ち上がります。彼は風を操り、ティアマトが口を開けた瞬間に暴風を流し込んで内側から引き裂き、その遺体を使って天と地を創造したとされています。
現代作品でのティアマト
Fate/Grand Order
『FGO』では人類悪の一つ「ビーストII」として登場。「回帰」の理を持ち、すべてを産み直しリセットしようとする母なる災害として描かれました。
Dungeons & Dragons
TRPG『D&D』では、5つの首を持つ悪竜の女神として登場し、クロマティック・ドラゴン(色彩竜)の頂点に君臨しています。
【考察】なぜティアマトは「悪」とされたのか
自然の猛威の象徴
ティアマトは、人間に恵みをもたらす一方で、洪水や嵐としてすべてを奪い去る「自然の二面性」を象徴しています。混沌を秩序(マルドゥク)が打ち破るという構図は、文明の発展と自然の克服を表しているとも考えられます。
まとめ
ティアマトは単なる破壊の怪物ではなく、愛と憎しみの両方を持った悲劇の母神です。その巨大な骸の上に、私たちの世界が成り立っているのかもしれません。