スクォンク(Squonk) は、アメリカ・ペンシルベニア州のヘムロックの森に住むとされる、非常に奇妙で哀れな幻獣です。「フィアサム・クリッター(Fearsome Critters)」と呼ばれる木こりのホラ話・伝承群に属しますが、人を襲うことはありません。彼はただ、自分の姿があまりにも醜いことを嘆き、一日中泣いているのです。
涙に溶ける生態
醜悪な外見
伝承によると、スクォンクの皮膚はイボだらけで、サイズが合わない服のようにたるんでおり、毛はありません。豚のような、あるいはネズミのような姿とされます。彼は自分のこの醜さを極端に嫌っており、人目につかない月夜にだけ活動し、常にシクシクと泣いています。
究極の逃走手段
人間がスクォンクを追い詰め、捕まえようとすると、驚くべき現象が起きます。彼は恐怖と悲しみのあまり、自らの体を涙と泡に変えて溶かしてしまうのです。後にはただの水たまり(涙)だけが残ります。あるハンターが袋に入れて持ち帰ろうとしたところ、袋が軽くなり、中には液体しか残っていなかったという逸話が有名です。
愛すべき弱者
学名:Lacrimacorpus dissolvens
面白半分に「ラクリマコルプス・ディッソルウェンス(涙の体で溶けるもの)」というラテン語の学名まで付けられています。これはもちろんジョークですが、20世紀初頭の北米のきこりたちのユーモアセンスと、深い森の中で感じる孤独感が産んだ、愛すべき「幻想生物」です。
ポップカルチャー
スティーリー・ダンの曲「Any Major Dude Will Tell You」の歌詞に登場したり、いくつかのビデオゲームで「倒すと液体になる敵」として描かれたりと、地味ながらも欧米ではカルト的な人気を誇るクリーチャーです。その弱さは、逆に多くの人々の保護欲をかき立てるのかもしれません。
まとめ
スクォンクは、コンプレックスの塊のような生き物です。しかし、自らを消滅させてまで視線から逃れようとするその姿勢は、ある種の究極の防衛本能とも言えるでしょう。