恋は人を盲目にすると言いますが、清姫の場合はそれが極端な形で現れました。彼女は元はただの人間の娘でしたが、恋人に裏切られた怒りのあまり、生きたまま火を吹く大蛇へと変身してしまったのです。和歌山県の道成寺に伝わる、日本で最も有名なストーカー伝説の主人公です。
嘘つきな僧侶
戻らない恋人
旅の僧・安珍は、一夜の宿を借りた家の娘・清姫に一目惚れされ、「参拝が終わったら必ず戻ってきて君を妻にする」と約束(嘘)をして逃げました。騙されたと知った清姫は裸足で彼を追いかけ、日高川を渡る頃には、その激情によって身体が蛇へと変わり果てていました。
道成寺の鐘
鐘ごと焼き尽くす
逃げ場を失った安珍は、道成寺の梵鐘の中に隠れてやり過ごそうとしました。しかし大蛇となった清姫は鐘に巻き付き、自身の身体から発する紅蓮の炎で鐘を真っ赤になるまで炙り続けました。中にいた安珍は、骨も残らず炭になってしまったといいます。復讐を遂げた清姫は、その後入水して果てました。
まとめ
清姫の物語は、裏切られた女性の情念の恐ろしさを描くと共に、人間の感情が時として妖怪以上の怪物を生み出すことを教えてくれます。