寒い風の吹く日、転んだわけでもないのに、いつの間にか手足に切り傷ができていることはありませんか?血も出ず、痛みも少ないその傷は、もしかすると風の妖怪**鎌鼬(かまいたち)**の仕業かもしれません。
見事な連携の三兄弟
1. 転ばせ、2. 切り、3. 薬を塗る
中部地方などの伝承では、鎌鼬は3匹の悪戯好きな神様(あるいは妖怪)として語られ、目にも止まらぬ早業で連携攻撃を行います。
- 第一の鎌鼬が、人を突き飛ばして転ばせる。
- 第二の鎌鼬が、鎌のような爪で切りつける。
- 第三の鎌鼬が、即座に薬を塗って血を止める。
この間、ほんの一瞬。だから被害者は切られたことに気づかず、痛みも血も出ないのだと言われています。
「真空」による現象説?
科学的解釈の誤解
かつては、「つむじ風の中心が真空になり、断熱膨張で皮膚が凍り裂ける、あるいは気圧差で弾ける現象(真空カマイタチ現象)」と科学的に説明された時期がありました。この説は明治時代の科学者によって提唱され、広く信じられてきましたが、現在では否定されています。
本当の原因
現代の物理学では、強風で飛んできた砂粒や小石、鋭利な木の葉などが皮膚を高速で切りつけることが主な原因と考えられています。真空だけで皮膚が綺麗に切れることは物理的に起こりにくいとされていますが、「見えない何かに切られる」という神秘性は失われていません。
漫画・アニメでの鎌鼬
頼れる仲間たち
藤田和日郎の名作『うしおととら』では、雷信・かがり・十郎という鎌鼬の三兄弟が登場。彼らは人間と妖怪の狭間で葛藤しながらも、主人公・蒼月潮の心強い味方として活躍し、それまでの「単なる自然現象の妖怪」というイメージを一新しました。
風属性の定番
『NARUTO』のテマリが使う大鎌いたちの術や、『ポケモン』のわざとしての「かまいたち」など、風を操る能力者や忍術のモチーフとして、カマイタチは現代でも頻繁に登場します。見えない刃で敵を切り裂くスピードキャラとしての地位を確立しています。
まとめ
悪戯好きだけど、最後には薬を塗ってくれるという律儀な妖怪・鎌鼬。自然の脅威の中にも、どこかユーモアを感じさせる日本らしい妖怪です。