ギリシャ神話最強の英雄ヘラクレスでさえ、倒すのではなく「生け捕り」にするのに苦労した怪物がいます。「エリュマントスの猪」は、アルカディアの高地に棲み、鋭い牙と巨体で里を破壊し尽くした、荒ぶる自然の化身です。
第4の功業
殺してはいけない狩り
ヘラクレスに課せられた「12の功業」の4番目は、この凶暴な猪を生きてミュケナイ王エウリュステウスのもとへ連れて帰ることでした。単に殺すよりも遥かに難しい難題です。
ケンタウロスとの悲劇
この猪を追う道中、ヘラクレスはケンタウロスのポロスと酒盛りをしますが、酒の匂いに釣られて他のケンタウロスが襲来。乱戦の中で賢者ケイローンを誤って毒矢で射てしまうという、悲しい事件の発端ともなりました。
知恵を使った捕獲
雪山への追い込み
猪は力もスタミナも凄まじく、まともに追いかけても捕まりません。ヘラクレスは大声で猪を脅して巣から追い出し、わざと深い雪が積もった場所へと誘導しました。 自重で雪に足を取られ、動けなくなった猪にヘラクレスは飛び乗り、鎖で縛り上げてついに生け捕りに成功したのです。
壺に隠れる王
ヘラクレスが巨大な猪を担いで王宮に戻ると、依頼主のエウリュステウス王は猪のあまりの大きさと恐ろしさに腰を抜かし、青銅の壺(または酒甕)の中に隠れてしまったという情けないエピソードが有名です。
ゲームでの描写
猪突猛進のボス
『アサシンクリード オデッセイ』や『ゴッド・オブ・ウォー』など、ギリシャ神話を舞台にしたゲームでは、猛烈なスピードで突進してくる強力なボスモンスターとして登場し、プレイヤーの回避スキルを試してきます。
【考察】古代の害獣被害
農耕社会の脅威
古代ギリシャにおいて、畑を荒らす猪は農耕生活の最大の敵でした。エリュマントスの猪退治は、人々を飢えから救う英雄の功績を象徴しています。
まとめ
エリュマントスの猪は、英雄ヘラクレスの「力」だけでなく「知恵」と「忍耐」を証明するために用意された、偉大なる試練の獣なのです。