その鳥は、王の宮殿にのみ棲むことを許された、眩いばかりの純白の鳥です。「カラドリウス(Caladrius)」は、単なる美しい鳥ではありません。彼らは病人の運命を見通し、あらゆる病をその身に引き受けて飛び去る、究極の「医者」にして「予言者」でした。
生死を判定する鳥
顔を向けるか、背けるか
カラドリウスが病人の枕元に連れてこられた時、その振る舞いが運命を決定づけます。
- 顔を向けた場合: カラドリウスは患者の病気をすべて吸い取り、空高く飛び去って太陽の熱で病を焼き払います。患者は必ず助かります。
- 顔を背けた場合: その病は不治であり、患者はまもなく死にます。 確実に予後を知ることができるため、王族や貴族に重宝されました。
キリスト教のシンボルとして
罪なき者の犠牲
中世ヨーロッパにおいて、カラドリウスはイエス・キリストの象徴と見なされました。「他者の苦しみ(病・罪)を自らの身に引き受けて浄化する」という性質が、キリストの贖罪と重ね合わされたのです。そのため、教会の装飾や宗教画にも描かれています。
汚れなき白
カラドリウスには黒い部分が一切なく、その糞さえも目の病気を治す薬になると信じられていました。
現代でのカラドリウス
ゲーム・漫画
『ダンジョン飯』や『女神転生』シリーズなどでは、回復魔法を得意とする聖獣として登場します。攻撃的なモンスターが多い中で、純粋なヒーラーとしての役割を与えられる稀有な存在です。
【考察】モデルはチドリ?
黄疸の治療
ギリシャ語で「チャラドリオス(Charadrios)」という鳥が元になったと言われます。これは黄色い目を持つチドリの一種とされ、当時「似たものを見る」ことが黄疸の治療になると考えられていたことから、病を吸い取る鳥の伝説が生まれました。
まとめ
カラドリウスは、病への恐怖と、救いへの切実な祈りが生み出した、最も慈愛に満ちた幻獣の一つです。