「働かずに金持ちになりたい」...そんな人間の欲望が、恐ろしい黒魔術と結びついて生まれた妖怪。それがインドネシアの「バビ・ヌゲペット(Babi Ngepet)」です。イノシシの姿をしたこの怪物は、今もなお現地のニュースを騒がせることがある、「生きた都市伝説」でもあります。
魔術的な泥棒イノシシ
正体は人間
バビ・ヌゲペットの正体は、黒魔術の儀式を行った人間です。悪魔との契約によりイノシシに変身する能力を得て、夜な夜な他人の家に忍び込み、金品や宝石だけを盗み出します。
壁をすり抜ける能力
変身したバビ・ヌゲペットは、壁や鍵のかかった扉をすり抜けることができます。そして、体を壁や家具に擦り付けることで、魔法のように財宝を吸い取ってしまうと言われています。
命がけのチームプレイ
ロウソクの番人
この魔術は単独では行えません。実行犯がイノシシに変身して出かけている間、もう一人の協力者が家で**「命のロウソク」**を守り続けなければなりません。
バレたら終わり
ロウソクの火が揺らぐときは、イノシシが危険な目に遭っている合図です。もしロウソクが消えてしまうと、イノシシは人間に戻れなくなるか、その場で正体を現して捕まってしまうとされています。そのため、現地の村人は「夜中に怪しいイノシシを見つけたら追い回す」ことがあります。
現代社会との関わり
実際に起きる騒動
インドネシアでは、現代でも「バビ・ヌゲペットを捕まえた!」というニュースが報じられることがあります。急に金持ちになった近隣住民への嫉妬や疑心が、こうした妖怪騒ぎの背景にあることも少なくありません。
ホラー映画の題材
東南アジア特有の不気味さとリアリティを持つため、多くのホラー映画やドラマの題材となっています。
【考察】嫉妬が生んだ怪物
社会的格差の象徴
バビ・ヌゲペットの伝説は、貧富の差が激しい社会において、「努力せずに富を得ている者」へのやっかみや、「不正な手段で儲けているのではないか」という疑念が具現化したものと言えます。
まとめ
バビ・ヌゲペットは、魔法のイノシシである以前に、人間の「強欲」と「嫉妬」が生み出した、社会的な闇を映す鏡のような妖怪なのです。