バナナの木(芭蕉)は、アジアの熱帯地域では神聖かつ不気味な植物とされています。その大きな葉の下には「芭蕉鬼(Ba Jiao Gui)」と呼ばれる美しい女性の幽霊が潜んでおり、ある儀式を行えば願いを叶えてくれますが、その代償は命かもしれません。
赤い糸の儀式
運命のギャンブル
民間伝承によると、夜中にバナナの木に赤い糸の一端を結び、もう一端を自分の足首(またはベッド)に結んで眠ると、芭蕉鬼が現れると言われています。彼女は美しい姿をしており、未来の出来事や、宝くじの当たり番号を教えてくれます。この儀式は非常に危険であると同時に、一攫千金を夢見る人々にとっては抗いがたい魅力を持った「降霊術」として語り継がれています。
解放の条件
ただし、彼女から情報を得たら、必ず約束通りに「解放」してあげなければなりません。もし欲を出して彼女を束縛しようとしたり、約束を破ったりすれば、彼女は恐ろしい悪霊となり、契約者を呪い殺して心臓を喰らうとされています。彼女は人間に利用されることを嫌い、対等以上の契約(命のやり取り)を求めるのです。
孤独な精霊
木の涙
バナナの花のつぼみは赤く、まるで血の塊や心臓のように見えます。また、雨が降ると芭蕉の葉がパラパラと音を立てる様子は、幽霊が泣いている声に例えられました。これらのイメージが、悲しくも恐ろしい精霊の伝説を生み出しました。
ホラー映画の定番
ポンティアナックとの関連
インドネシアやマレーシアでは、バナナの木は吸血鬼「ポンティアナック(出産で死んだ女性の霊)」の住処とも信じられています。このため、アジアのホラー映画ではバナナ林が恐怖のスポットとして頻繁に登場します。
【考察】植物への畏怖
生命力の象徴
バナナは非常に成長が早く、次々と子株を増やす生命力の強い植物です。その溢れる「陰の気」が、死者や精霊を引き寄せると考えられたのでしょう。日本でも「芭蕉の精」の怪談は能楽などで語られています。
まとめ
芭蕉鬼は、人間の「もっと金が欲しい」という欲望につけ込む、美しくも危険な自然の罠です。