夏の夜、蝋燭を100本立てて怪談を語り合う「百物語」。一話終わるごとに一本ずつ火を消していき、最後の百本目が消えた時、本当の怪異が現れると言われています。その時現れるのが「青行燈(アオアンドン)」と呼ばれる、恐ろしい鬼女です。
怪談の締めくくり
姿の特徴
鳥山石燕の絵では、青い紙を貼った行燈(あんどん)の傍らに、長い黒髪に二本の角、お歯黒をつけた白い着物の女が描かれています。それは行燈の精霊のようでもあり、地獄から招かれた鬼のようでもあります。その表情は陰惨でありながら、どこか妖艶な美しさも秘めています。
現れるとどうなる?
具体的な害については諸説あります。「ただ現れて驚かすだけ」という説もあれば、「参加者を食い殺す」「異界へ連れ去る」「天井から巨大な手が現れる」という恐ろしい説もあります。そのため、昔の人々は九十九話目で止めて、朝を待つことが多かったと言います。恐怖を楽しむことと、本当に危険な領域に踏み込むことの境界線が、この九十九話目なのです。
青色の心理効果
雰囲気を演出する
百物語では、行燈に青い和紙を貼って、部屋を青白く照らす作法がありました。青白い光は人間の顔色を悪く見せ、幽霊のような雰囲気を作り出します。この「演出」そのものが妖怪化したのが青行燈です。
現代作品での青行燈
式神としての活躍
ゲーム『陰陽師』などでは、物語を集める美しくも妖しい式神として登場し、プレイヤーをサポートしたり敵として立ちはだかったりします。怪談の語り部としてのキャラクター性が強調されています。
【考察】集団ヒステリー
恐怖の共有
極限の緊張状態で100話もの怖い話を聞き続ければ、脳が錯覚を起こし、何もないところに怪異を見てしまうことがあります。青行燈は、集団の恐怖心が作り出した幻覚の象徴と言えるでしょう。
まとめ
青行燈は、好奇心と恐怖心が生み出した「怪談のラスボス」です。彼女に会いたくなければ、百話目は決して語ってはいけません。