「一尺八寸(約54.5cm)」の竹。たったそれだけのシンプルな管から、風の音のような、あるいは魂の叫びのような、無限の音色が生まれます。尺八は、音楽を楽しむ楽器としてではなく、悟りを開くための「法具」として発展した、世界でも稀な笛なのです。
吹禅(すいぜん)
吹く禅
江戸時代、普化宗(ふけしゅう)の禅僧である虚無僧たちは、尺八を吹くことを修行としました。これを「吹禅」と呼びます。彼らは諸国を行脚する特権を持ち、深編笠で顔を隠して世俗との関わりを断ちました。
護身用としての側面
頑丈な根っこ
尺八は、竹の根元(根っこ)の部分を使って作られます。ここは非常に硬く、分厚いため、旅の途中で野犬や暴漢に襲われた際、棍棒代わりの武器として使われたとも言われています。確かに、あの重厚な見た目はただの笛とは思えない迫力があります。
まとめ
尺八の音には、楽譜には書き表せない「間(ま)」があります。その静寂の中にこそ、日本人が大切にしてきた精神世界が広がっているのかもしれません。