神社に行くと、神主さんが「サッ、サッ」と頭上で振ってくれる白いフサフサがついた棒。あれを「大幣(おおぬさ)」または「祓串(はらいぐし)」と呼びます。単なる飾りではなく、目に見えない「穢れ(気枯れ)」を物理的に拭い去る、日本古来の最強のクリーニングツールなのです。
撫でて捨てる
現代と古代の違い
現在では、神主さんが参拝者に向かって振ることで「風を起こして穢れを吹き飛ばす」ようなイメージがありますが、古くは使い方が違いました。 もともとは、麻や木綿の布を参拝者に配り、自分の体を撫でて罪や穢れをその布に移し、最後に川に流して捨てるというものでした。「ぬさ(幣)」とは、神様への捧げ物という意味と同時に、罪を贖うための代償物でもあったのです。
雷のような音
大幣を振るときに鳴る「カサッ」という音は、神聖な音とされ、神の降臨を促したり、邪悪なものを驚かせて追い払ったりする効果があると言われています。紙垂(しで)のギザギザした形も、稲妻を模しており、邪気を払う力象徴しています。
ポップカルチャーでの大幣
博麗霊夢のお祓い棒
ゲーム『東方Project』の主人公、博麗霊夢が持っている「お祓い棒」もこれです。ゲーム中では物理的に敵を叩いたり弾を消したりしていますが、本来の「穢れ(異変)を祓う」という役割を戦闘向けにアレンジしたものと言えるでしょう。ファンタジー作品でも、アンデッドや悪霊に対する特効武器として描かれることが多いアイテムです。
【考察】リセットする文化
「水に流す」精神
大幣で絡め取った穢れを川や海に流す儀式は、日本人の「水に流す」という精神性と深く結びついています。失敗や過ちを永遠に背負い込むのではなく、一度清算して、また明日から新しくやり直す。大幣は、そんな精神的なリセットボタンの役割を果たしているのかもしれません。
まとめ
次に神社でお祓いを受けるときは、その風を感じてみてください。それは単なる風ではなく、あなたの心に溜まった「見えない埃」を払い落としてくれる、清浄な一吹きなのです。