蛍丸(ほたるまる)は、かつて阿蘇神社(熊本県)に伝わっていた大太刀で、無数の蛍が刀を直したという幻想的な伝説を持つ名刀です。 1931年に国宝に指定されましたが、太平洋戦争の混乱の中で行方不明となり、長く「幻の国宝」と呼ばれていました。
蛍の光が癒やした刀
伝説の夜
南北朝時代、阿蘇惟澄(あそ これずみ)という武将が戦いでこの刀を振るいました。激戦の末、刀は刃こぼれだらけになり、見る影もありませんでした。その夜、惟澄が眠っていると、無数の蛍が飛んできて刀に群がり、光で包み込みました。翌朝、彼が目を覚ますと、刀の刃こぼれは完全に消え、元の美しい姿に戻っていたといいます。これが「蛍丸」の名前の由来です。
幻となった宝刀
太平洋戦争での消失
蛍丸は阿蘇家の守り刀として大切にされてきましたが、GHQによる刀狩りの際の混乱で、所在不明となってしまいました。海に捨てられたとも、誰かが持ち去ったとも言われていますが、未だに発見されていません。
現代に蘇る奇跡
復元プロジェクト
2015年、クラウドファンディングによる「蛍丸復元プロジェクト」が立ち上がりました。目標額を遥かに超える4500万円以上の支援が集まり、最高峰の刀匠の手によって、当時の姿に限りなく近い「復元・蛍丸」が完成しました。この刀は現在、阿蘇神社に奉納されています。
刀剣乱舞での人気
このプロジェクトの成功の背景には、ゲーム『刀剣乱舞』での蛍丸の人気がありました。ゲーム内では小さな少年の姿ながら、自身よりも巨大な大太刀を軽々と振り回す最強クラスのキャラクターとして描かれ、多くのファンに愛されています。
【考察】小さきものの大きな力
蛍の霊力
日本において蛍は、死者の魂や神秘的な火の象徴とされます。数千匹の蛍が集まって鉄を修復するというイメージは、自然界の霊力が武器に宿るアニミズム的な信仰の美しさを伝えています。
まとめ
蛍丸は一度失われましたが、人々の想いと現代の技術によって蘇りました。それはまさに、蛍が集まって傷を癒やした伝説の再現のようでもあります。