「その背丈は、最も背の高い者よりも一キュビットほど高く...」ビザンツ皇女アンナ・コムネナをも畏怖させ、魅了した巨人ボエモン。彼は信仰のためではなく、己の王国を築くために十字軍を利用した、清々しいほどの野心家でした。
バイキングの血を引く巨人
ノーマンの申し子
南イタリアを征服したロベルト・ギスカルドの息子として生まれたボエモンは、父譲りの巨体と軍事的才能を受け継ぎました。彼は若い頃からビザンツ帝国と戦い、その勇名は東地中海全域に轟いていました。
魅力的な悪党?
彼は金髪碧眼、広い胸板、そして雷のような声を持っていたと伝えられています。敵対したビザンツ側でさえ、その圧倒的な存在感とカリスマ性には賛辞を惜しみませんでした。
アンティオキア攻略の知略
鉄壁の城を落とす策
第一次十字軍最大の難所、アンティオキア城攻囲戦。力攻めで膠着状態が続く中、ボエモンは城内の守備隊長を裏切らせる調略を進めていました。そして「一番乗りした者がこの街の主となる」という約束を他の諸侯に取り付けた上で、手引き通り城内に侵入。見事アンティオキアを我が物としました。
アンティオキア公国
エルサレムへの不参加
念願の領土を手に入れた彼は、エルサレムへの進軍を他の諸侯に任せ、自らはアンティオキア公として独立を宣言しました。この徹底したリアリストぶりこそが、ボエモンを他の聖戦士たちと区別する最大の特徴です。
【考察】中世最強の冒険者
執念と好機
相続財産を持たなかった彼にとって、十字軍は千載一遇のチャンスでした。倫理や信仰よりも実利を優先し、その巨体と知恵で乱世を生き抜いた姿は、まさに中世の冒険者の頂点と言えるでしょう。
まとめ
聖人には程遠いが、誰よりも人間臭く、強烈な魅力を放つボエモン。歴史を変えたのは、祈りではなく彼の野望だったのかもしれません。