千の手も、馬の頭もありません。しかし、だからこそ最も親しみやすい「ザ・観音様」。それが聖観音(しょうかんのん)です。
別名を「正観音」とも言い、あらゆる変化観音(千手や十一面など)の元となった本来の姿です。左手につぼみの蓮華を持ち、右手を開いて見せるその姿は、悟りが開花する可能性と、決して人々を見捨てない心を象徴しています。
観音菩薩の基本
観音(かんのん)とは?
「音を観る」と書きます。これは、世の中の人々の「苦しみ嘆く声(音)」を心の目で観察し、すぐさま救いに駆けつけるという意味です。聖観音は、その最も純粋な働きを表しています。
三十三変化身
聖観音は特定の形にこだわらず、相手に合わせて33種類の姿に変身すると言われています。子供には子供の、王様には王様の姿で現れ、最も受け入れられやすい形で教えを説きます。
有名なお寺
浅草寺の本尊
東京・浅草寺の「浅草観音」として有名な秘仏も聖観音です。また、奈良の薬師寺にある聖観音立像は、そのプロポーションの美しさから仏教美術の最高峰の一つとされています。
【考察】普通であることの凄さ
地獄担当
六観音の中では、最も救済が難しい「地獄道」を担当します。特殊能力で圧倒するのではなく、罪人の苦しみにただ静かに寄り添う聖観音の優しさこそが、地獄の業火を消す唯一の水なのかもしれません。
まとめ
派手な必殺技のような法具は持ちません。しかし、ただそこにいて話を聞いてくれる。聖観音のそんな「ありのままの慈悲」に、多くの日本人が癒やされ続けています。