これほど極端な二面性を持つ神も珍しいでしょう。最高級の香水や美容オイル、美味しいワインを作り出し、宴の席を彩る神。しかしその裏の顔は、地獄の圧搾機で罪人の頭を砕き、その血をワインとして神々に振る舞う「悪魔的な処刑人」。エジプト神話の影の実力者、シェスズムの恐怖と魅力に迫ります。
美容と悦楽の神
神々の調香師
古代エジプトにおいて、香油は神聖な儀式にも美容にも欠かせない高級品でした。シェスズムはそれらを統括し、死体の防腐処理(ミイラ作り)に使う貴重なオイルを提供する、極めて有益な神として信仰されていました。
血のソムリエ
圧搾機の恐怖
しかし「ピラミッド・テキスト」には、彼が星々すら切り刻んで調理する姿が描かれています。ブドウを潰してワインを作るように、彼は王に敵対する者たちの頭を容赦なく潰します。この「赤い液体(ワインと血)」の連想が、彼を豊穣の神から戦慄の処刑神へと変化させたのです。
まとめ
シェスズムは、古代人の「液体」に対する魔術的な連想(高貴な香油と汚れなき血)を体現する存在であり、恵みと残酷さが紙一重であることを教えてくれるユニークな神です。