阿弥陀如来の両脇を固める「阿弥陀三尊」。左側にいるのが慈悲の観音菩薩なら、右側に控えるのが智慧の勢至菩薩です。観音様に比べると単独で祀られることは少ないですが、実は「足を踏み下ろすだけで三千世界を震わせる」ほどの強烈なパワーを秘めた菩薩様なのです。
勢至菩薩とは?
名前の由来
サンスクリット語では「マハースターマプラープタ」といい、「偉大な勢力(力)を得た者」という意味があります。その智慧の光はあまねく世界を照らし、地獄・餓鬼・畜生の三悪道に落ちた人々をも救う力があるとされています。
観音菩薩とのペア
阿弥陀三尊において、観音菩薩が「慈悲(母性的な優しさ)」を表すのに対し、勢至菩薩は「智慧(理知的な導き)」を象徴します。この二つが揃って初めて、阿弥陀如来の完全な救いが完成するのです。
特徴的な姿
水瓶(すいびょう)
勢至菩薩の最大の特徴は、宝冠(頭の飾り)の中に水瓶を乗せていることです。この中には「智慧の水」が入っているとも、阿弥陀如来の光明が入っているとも言われます。一方、観音菩薩は宝冠に「化仏(阿弥陀如来の小さな像)」を乗せているので、ここで見分けることができます。
合掌スタイル
多くの像では、胸の前で手を合わせる合掌のポーズをとっています。これは阿弥陀如来への帰依と、衆生への祈りを表しています。
意外なパワフルさ
振動する世界
経典によると、勢至菩薩が足を一歩踏み出すと、三千大千世界(全宇宙のようなもの)や魔王の宮殿までもが激しく揺れ動くとされています。優しげな外見とは裏腹に、悪を震え上がらせるほどの凄まじい「勢力」を持っているのです。
午年の守り本尊
十二支守り本尊
勢至菩薩は、午(うま)年生まれの守り本尊としても知られています。午年の人は、勢至菩薩にお参りすることで、より強い加護を受けられると言われています。
まとめ
勢至菩薩は、智慧の光で私たちの行く先を照らしてくれる頼もしい導き手です。観音様と一緒に拝むことで、優しさと賢さの両方を授かることができるでしょう。