北極の冷たい海の底に棲む女神セドナ。彼女の指からクジラやアザラシが生まれたという、美しくも痛ましい神話をご存知でしょうか?
セドナとはどのような神か?
セドナはイヌイット(エスキモー)神話における最高位の女神の一人です。海の哺乳類(アザラシ、セイウチ、クジラなど)を管理する主であり、彼女が機嫌を損ねると獲物が獲れなくなり、人々は飢えます。海底の家で暮らしています。
神話での伝説とエピソード
指の切断
父親(あるいは鳥の夫)によってカヤックから海に突き落とされた際、必死に船縁にしがみつきました。しかし父親は彼女の指を斧で次々と切り落としました。切り落とされた指が海に落ちて、それぞれアザラシやセイウチなどの海獣になりました。
シャーマンの役割
彼女は指がないため、乱れた髪を自分でとかすことができません。髪が汚れると怒って獲物を隠してしまいます。そのため、シャーマンが幽体離脱して海底へ行き、彼女の髪をとかして機嫌を直してもらう儀式が行われます。
アドジブン(冥界)
セドナが支配する海底の冥界は「アドジブン」と呼ばれます。ここは死者の魂が浄化される場所であり、生前にタブーを破った者の魂はここで一年間拘束され、セドナに仕えなければなりません。その後、月にある真の安息の地へ行けると信じられています。
現代作品での登場・影響
準惑星セドナ
太陽系の遥か彼方を回る準惑星「セドナ」は、極寒の宇宙にあることから彼女にちなんで名付けられました。
FGO
アルターエゴのサーヴァントの構成要素の一つとして登場し、その悲劇性と強力な水属性攻撃が描かれました。
【考察】その強さと本質
命の源泉
狩猟民族における「獲物=神の体の一部」という概念は、食べるという行為への罪悪感と感謝を表現しています。
まとめ
冷たい海の底で、彼女は傷ついた手を抱えています。私たちが生きるために奪う命の重さを、セドナは問いかけています。