西アフリカからカリブ海まで広く崇拝される、鉄と戦争の神オグン。すべての鉄製品は彼のものであり、彼への誓いは絶対に破ってはいけないとされています。
オグンとはどのような神か?
オグンはヨルバ神話の主要な神(オリシャ)の一柱で、最高神オロルンの長男とされることもあります。人間に鉄の加工法と道具の使い方を教えた文化英雄であり、密林を切り開く開拓者でもあります。現代では、車や電車など「鉄の乗り物」の守護神としても信仰されています。
神話での伝説とエピソード
人間への道
神々が地上に降りようとした際、密林に阻まれて進めませんでしたが、オグンだけが鉄の斧で道を作り、他の神々を導きました。
誓いの証人
ナイジェリアの法廷では、聖書の代わりに鉄(ナイフや銃)に触れてオグンに宣誓することがあります。偽証すれば鉄による災い(事故など)が起きると信じられているためです。
現代作品での登場・影響
サンテリアとブードゥー
奴隷貿易によってアメリカ大陸に伝わり、聖ペテロや大天使ミカエルと習合しながら、ハイチのブードゥー教やキューバのサンテリアでも重要な神として祀られています。
労働者の神
鍛冶屋、運転手、兵士、床屋、外科医など、刃物や鉄を扱うすべての職業の守護者です。
現代社会での崇拝
現代のナイジェリアやベナンでは、オグンは非常に身近な神です。タクシードライバーやバスの運転手は、交通事故から身を守るためにオグンの魔除けを車内に飾ります。また、サーバーやコンピュータを扱うエンジニアたちの間でも、「鉄(ハードウェア)と技術」の神として、ジョーク交じりに、あるいは真剣に崇拝されることがあります。
【考察】その強さと本質
文明の両義性
鉄は便利な道具にもなれば、人を殺す武器にもなる。オグンはその両面(創造と破壊)を体現する、文明そのものの象徴と言えます。
まとめ
鉄あるところにオグンあり。現代社会を支えるテクノロジーの奥底にも、彼の力強い鼓動が息づいています。