ヨルバの神々のパンテオンにおいて、「白き布の王」と呼ばれ、至高神の代理人として地上を創造したのがオバタラです。彼はすべてのオリシャ(神々)の父とも呼ばれ、純潔、平和、倫理、そして知恵を司ります。他の荒ぶる神々とは異なり、彼は静寂と理性を愛し、常に純白の衣を纏っています。人間を粘土から捏ね上げて形作ったのは彼であり、私たちの肉体の作者でもあります。しかし、その創造の過程で犯したある過ちから、彼は障害を持つ人々や社会的に弱い人々の守護神としての使命も背負っています。
泥からの人間創造
禁断の酒と過ち
神話によれば、オバタラは人間を創る作業に没頭していましたが、途中で喉が渇き、パームワイン(ヤシ酒)を飲みすぎて酔っ払ってしまいました。手元が狂った彼は、手足が不自由な人間や、目の見えない人間を創ってしまいました。酔いが覚めた彼は、自分の犯した過ちを深く悔い、二度とパームワインを飲まないと誓いました。そして、障害を持つ人々を「オバタラの子」として特別に加護することを決めたのです。
天と地の分離
彼は黄金の鎖を伝って天から降り、砂を撒き、そこに五本指の鶏を放って大地を広げさせました。彼が最初に降り立った地が、ヨルバの聖地イフェであるとされています。
白き王の教え
平和的な調停
オバタラは争いを嫌います。神々の間で喧嘩が起きると、彼は知恵と権威をもって仲裁に入ります。彼の信徒たちは、清らかさの象徴として白い服、白いビーズを身に着け、供物も白い食べ物(ヤム芋、ココナッツミルクなど)を捧げます。血を伴う生贄は好まれません。
冷静な頭脳
彼は「頭部(Ori)」の守護神でもあります。これは物理的な頭だけでなく、人の運命や思考、精神性を意味します。混乱した状況で冷静な判断をしたい時、人々はオバタラに祈り、明晰な思考(クール・ヘッド)を求めます。
まとめ
オバタラは、完璧でない私たちが、それでも互いを慈しみ、平和に暮らすことの尊さを説く慈愛の父です。彼の白い衣は、どんな闇の中でも失われない、人間の魂の純粋さを象徴しているのです。