人間はどこから来たのか? クヌム神は知っています。なぜなら、彼がナイルの泥をこね、ろくろを回して私たちを作ったからです。羊の頭を持つこの偉大な陶工は、すべての生命の形を決定づける創造の職人です。
クヌムとはどのような神か?
古代エジプトの創造神の一人で、雄羊の頭部を持つ姿で描かれます。ナイル川の上流(エレファンティネ島)を聖域とし、ナイルの洪水を管理する神ともされました。最大の特徴は「陶工」としての性格です。彼はろくろの上にナイルの粘土を置き、神々の体や人間、動物たちを一つ一つ手作業で作り上げ、そこに命を吹き込んだと信じられていました。
神話でのエピソード
バー(魂)の創造
クヌムは肉体だけでなく、人間の「カー(精霊)」や「バー(魂)」もろくろで作るとされました。エジプトの神殿に残るレリーフには、ハトシェプスト女王の誕生に際し、クヌム神が彼女の肉体と魂をろくろで作成しているシーンが描かれています。
飢饉の碑文
ある時、エジプトで七年間の飢饉が続きました。ジョセル王がクヌム神に祈り、神殿を寄進したところ、クヌム神は夢に現れてナイルの増水を約束し、飢饉が終わったという伝承があります。彼は食糧生産の根幹を握る神でもありました。
信仰と文化への影響
ジョジョの奇妙な冒険
漫画『ジョジョの奇妙な冒険』第3部では、クヌム神のスタンドを使う敵・オインゴが登場します。自分の顔やに姿を自由に変形させる能力は、粘土細工で形を作るクヌム神の創造(変身)能力をモチーフにしています。
職人の守り神
ものを生み出すクリエイターや、陶芸家、職人たちにとって、彼は始祖とも言える存在です。
【考察】その本質と象徴
手作りの温かみ
「言葉」や「思考」で世界を作る神もいますが、クヌムは「泥」と「手」で作ります。人間が土から生まれたという感覚は、多くの神話に共通する普遍的なイメージであり、我々が大地の一部であることを思い出させます。
まとめ
あなたのその体も、遠い昔に彼がろくろを回して作った傑作の一つ。生命とは、神による精巧なアート作品なのです。