ディズニー映画『ファンタジア』の「禿山の一夜」で、その恐ろしくも圧倒的な姿を見せつけた黒き神チェルノボグ。スラヴ神話における「絶対悪」の象徴です。
チェルノボグとはどのような神か?
チェルノボグ(Chernobog)は、「黒い神」を意味するスラヴ神話の悪神です。対となる「白い神」ベロボーグ(Belobog)と共に、世界を善と悪の二元論で支配しているとされます。彼はあらゆる不幸、災厄、寒さ、夜、死を司ります。ただし、スラヴ神話の一次資料はキリスト教化によってほとんど失われているため、彼が実際に古代から信仰されていた神なのか、後世のキリスト教宣教師が「悪魔」として創作・解釈したものなのかについては、学術的な議論が続いています。
神話での伝説とエピソード
善と悪の闘争
創造神話において、チェルノボグは世界を汚そうとし、ベロボーグ(あるいは創造神ロド)がそれを正そうとするという形で語られることがあります。また、冬の間はチェルノボグの力が強く、春になるとベロボーグが打ち勝つという季節のサイクルの擬人化とも解釈されます。人々は彼を崇拝するというよりは、災いを避けるために恐れ敬い、生贄を捧げて宥めようとしました。
現代作品での登場・影響
ディズニー『ファンタジア』
ムソルグスキーの楽曲『禿山の一夜』に合わせて、山の頂から巨大な翼を広げて現れ、幽霊や悪魔たちを呼び寄せて狂喜乱舞する姿は、アニメーション史に残る名シーンです。このイメージが強烈すぎて、現代のポップカルチャーにおけるチェルノボグ像は、ほぼこのディズニー版がベースになっています。
アメリカン・ゴッズ
ニール・ゲイマンの小説およびドラマ『アメリカン・ゴッズ』では、ハンマーを持って牛を殺す、血なまぐさい屠殺場の神として現代に生きる姿が描かれました。
【考察】その強さと本質
根源的な恐怖
資料が少ないゆえに、その正体は「闇」そのもののようです。夜の闇、冬の寒さ、死の静寂といった、原始的な恐怖が具現化した存在と言えるでしょう。
まとめ
光あるところに必ず影があるように、チェルノボグは世界の暗黒面を背負う存在です。その漆黒の翼は、今も夜の底で羽ばたいているのかもしれません。